法律・弁護士についてのよくあるご質問-相続・遺言について

遺言書の効力について

同居していた父が私に全財産を相続させるという自筆の遺言書を残していたのですが、そのコピーを兄に渡して説明したところ、兄が遺言書の筆跡は父のものではないとの鑑定書を持ってきて、遺言書は無効だから法定相続分での遺産分割をしろと言って譲りません。
この後はどのような手続になっていくのでしょうか?

遺言書の効力についての回答

遺言が真にお父様が作成したものか否かは、最終的には、地方裁判所での裁判で確定する必要がありますが、その裁判でお父様が作成したものではないとされるまでは、遺言書は一応お父様が作成した有効なものとして存在していることになりますので、一般的には、あなたの方で地方裁判所に裁判(遺言書の真否確認の訴え又は遺言有効確認の訴え)を提起する必要まではないのが通常です。通常は、お父様が作成したものではないと主張しているお兄様の方が裁判(遺言書の真否確認の訴え又は遺言無効確認の訴え)を起こすことになるでしょう。


お兄様が、遺言はお父様が作成したものではないことを前提として、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることも考えられますが、上記のとおり遺言が真にお父様が作成したものか否かは、地方裁判所での裁判で確定すべき事柄ですので、調停を申し立てられた家庭裁判所としては、遺産分割調停を進めるべきかどうかの判断に困ってしまうことになります。 実務的には、このような場合、家庭裁判所から調停についてはいったん取り下げるよう勧告がなされ、まずは地方裁判所での裁判を先行させるのが通常です。


なお、お兄様が遺言書の筆跡がお父様のものではないとの筆跡鑑定を持ってきたということですが、一般に、筆跡鑑定は他の科学的鑑定と比較すると精度に問題があるといわれており、複数回鑑定を行うと、正反対の結論が出ることも珍しくありません。ましてや裁判所の手続で選任された公平な鑑定人がした鑑定ではありませんし、遺言書原本ではなくコピーを利用してなされた鑑定であることからすると、その筆跡鑑定があるということだけで、裁判でお父様の筆跡ではないとされてしまう可能性は低いでしょう。
逆にいえば、仮にあなたの側でお父様の筆跡であるという鑑定をしてもらっていたとしても、それだけで安心せず、そのほかの事情や証拠から間違いなくお父様が作成した遺言書であるといえるよう、十分な準備を怠ってはいけません。

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